『黒の契約者』第15話「裏切りの記憶は、琥珀色の微笑み…前編」〔感想〕

「お前達は手を出すな。 あいつは俺が始末する!」
『DARKER THAN BLACK-黒の契約者-』第15話。 黄緑色の髪が東京の街になびく。 あの頃の記憶。 消せない傷が黒(ヘイ)の中に甦る…。


早朝の新宿・歌舞伎町。 対価をこなすために徹夜で飲んでいたエイプリルは、店を出てすぐに思わぬ人物を目撃。 特徴的な瞳の少年を連れた、その相手は。
「アンバー…!」

夢中で駆け寄り、目視にて確認。 「早く出て!ノーベンバー!」 必死に連絡を取ろうとするが、シャワー中で通話ができない。 やむなく留守電にアンバー達の特徴を録音しながらタクシーへ乗り込む。
だが、運転手に指示を出そうとした、まさにその瞬間。
タクシーの真横の地面が、激しく爆発する…。

病院へと駆けつけたノーベンバー。 エイプリルは一命を取り留めたものの重傷を負い、意識不明のまま眠り続けている。
上司であるディケイドから告げられたのは、予想だにしなかった言葉。
エイプリルが目撃したのは、かつてMI6で『フェブラリー』のコードネームを名乗っていた女性スパイだという。
英国が誇る契約者研究の情報を盗み出し、ある組織へと寝返った二重スパイ。 その結果、英国の威信は失墜し、MI6も発言力を弱めている。
「全ての任務を保留して構わん。 『フェブラリー』の確保を最優先しろ。」
ノーベンバーに厳命が下された。


その頃。 三鷹にある警視庁天文部では、穏やかならぬ雰囲気が醸し出されていた。
ゲート出現以前には見られなかった【太陽表面の大黒斑】が、再び現れたのだ。
前回観測されたのは5年前。 南米で起こったヘヴンズ・ゲート消失の時…。
普段とは違う、緊張した表情の石崎香那美主任。


歌舞伎町付近を通りかかった黒(ヘイ)は、街路樹の枝に引っかかったペンダントを取ろうと一生懸命ジャンプしている少年を見つけた。
何度も、何度も。 でも、どうしても手が届かない。
黒はそのペンダントを枝から外し、何気なく少年に渡そうとしてハッとする。
《 これは…。 あの時、俺も似た首飾りを受け取った… 》

「君の笑顔を、ずっと守ってくれますように。」
羽飾りの付いたペンダントの革紐を結んでやると、少年の手のひらに渡しながら優しく告げる。
目をみはり、黒の後姿を振り向く少年。
「…どうして? …ううん。 こんな時は、お礼を言わなきゃ。 …ありがとう。 はじめまして。」
少年を見つめていた黒は、柔らかな微笑を返す。
「はじめまして。李舜生です。」 「…マキ。」 黒の笑顔に励まされるようにして、おずおずと名乗る。
「誰かからの贈り物ですか?」 「…大切な人がくれた。」 「そう。 じゃぁ、大事にしないと。 でも、どうしてあんな所に?」
マキは無言で立ち去ろうとする。 足を止めて振り返ると、まだ黒は笑顔で見送っていた。
「ありがとう。」 マキの言葉に、優しく微笑む黒。
マキも温かな気持ちを感じて微笑みを浮かべ、くるっと向きを変えて走り去っていく。
少年の姿が見えなくなると、黒はいつもの表情に戻って歩みを進める。

マオ、ホァンと落ち合った黒。 組織の東京支部が爆破事件に見舞われ、黒がゲートから持ち帰った【流星の欠片】が奪われてしまったのだ。
「MI6が?」 容疑者としてエイプリルの資料を見せられ、黒は驚きの表情になる。
新たに課された使命は、再び【流星の欠片】を取り戻すこと。

寂れたプールバーへと帰ってきたマキ。 カウンターに座る赤毛の男性にそっと語りかける。
「雨霧、おもしろい人間に会ったよ。 優しくしてくれた。…何だか、不思議な気分だった。」
エイプリルのタクシーを爆破する際、風圧で飛ばされた宝物のペンダント。 黒に結んでもらった革紐を、大切そうに首に掛ける。
だが、雨霧は尾行について確認すると話題を変えてしまう。
「【流星の欠片】は手に入った。 次はこの街を混沌と憎悪で満たす。 始めるぞ。」
「アンバーは?」 「『最後の鍵』を探しに出かけた。」
自分も行く、と言うものの止められ、寂しげにうつむく。
「ねぇ、…アンバーは誰かに会いに行ったんじゃないの?」

駅で降りたアポロキャップの少女。 売店でビニール傘を選ぶと、まだ降ってもいないのに差して歩き出す。 思いっきり空気を吸い込み、無邪気な笑顔が輝く。 「ニヒヒ♪」

相次ぐ爆破事件。 黒の組織に続き、MI6、そしてCIAまでもが標的となった。
混沌とする一方の状況。 仕組んでいるのは一体誰か?
「どうやら別の組織が割り込んできたらしい! やつら、戦争でもおっぱじめようってんじゃねぇのか?」 ホァンは苛立ちを募らせる。

立体駐車場に愛車を止め、ディケイドからの指示を受けるノーベンバー。 助手席にはジュライがちょこんと座っている。
『フェブラリー』を捕らえるべく発進しようとすると、黒い人影が立ちはだかった。
「返してもらおう。」 黒の強い声が響き渡る。
「何の話かな? 」 「お前達が奪った【流星の欠片】だ。」 「知らんな。他を当たれ。…と言いたいところだが、歓迎しよう。」 ノーベンバーは不敵な笑みを浮かべ、アクセルをふかす。

「私も訊きたいことがある。フェブラリーは何処だ?! 東京にいることは掴んでる。君達の組織でのコードネームは『アンバー』…だったか。」

黒が握るナイフから、突然放電が消える。 「アンバーが…この街に…?」

「やつを見たのか?! 教えろ!あいつは今どこにいる!」 激しい黒の詰問。
その言葉に目を見開くノーベンバー。「まさか…お前達も彼女に砂を掛けられたのか。」
黒が低く叫ぶ。
「お前達は手を出すな。あいつは俺が始末する!」

「そうはいかんな!」 強い口調で返し、ノーベンバーは急発進。 黒はその車上を飛び越え、ワイヤーを使って外の地面へ。
仮面と黒コートを植え込みに隠すと、ノーベンバーの車を追って走り始める。

次の標的と見越して中国大使館へと向かったノーベンバーは、まるで図ったような爆破の瞬間を目撃。 建物の裏手に回ろうとした時、新たな爆発が襲う。
咄嗟にジュライをかばい、通りの向こうに視線を走らせる。
そこにいたのは、エイプリルが目撃した『オッドアイの少年』。
「何かあったら彼女を訪ねろ。」 走り書きしたメモをジュライに渡すと、ゆっくりと車から降りる。

「フェブラリーは…コードネーム『アンバー』は何処にいる?」 「教えない。」 「なら、割らせるまでだ。」
氷結能力を発動、マキの足元まで凍らせて近づく。 だが、マキが鼻を軽く擦ると〔光る手形〕がノーベンバーの背後に出現。 襲い掛かる激しい爆発。

見守っていた雨霧に、マキは少し拗ねた声で告げた。
「こんなんでやられるような奴なら…要らないよ。」


天文部の観測室。 〈 星見様 〉が詠うように言葉を紡いでいる。 凝視する香那美たち。
「聴こえるさ。 あの時…みたいだ。 もうすぐなんだね。 【終わりの始まり】…。」


ノーベンバーを追う黒の脳裏に、深く刻まれた記憶が甦る。

《 忘れもしない、あの夜。 まだ南米にいた頃。 ジャングルを流れる河のほとりで、あいつは俺からナイフを借りた。 そしてパンを切り取りながら、静かに語りだした。 》

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「逃げようか。 何処かへ。 どこか遠くへ。 あなたと、白(パイ)と私と。 三人で。」
低く通る声を聞いて、17歳前後の黒は夜空を振り仰ぐ。
「どこへ?」 「星の見えるところ。」
その言葉に、黒の口元がほころぶ。

「ありがと。」
返されたナイフを受け取ろうと黒が差し出す手。 そこに握られたのは、羽飾りの付いた革紐のペンダント
振り返ると、アンバーは優しく微笑んだ。 二十歳前後の大人の姿。
「お守り。 【あなたの笑顔をずっと守ってくれますように。】

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低く垂れ込めた曇り空の下。 銀(イン)の座るタバコ屋の前に立ち止まり、少女は声を掛けた。
「私が言うのも変かなぁ。でも、結構気に入ってるんだ。 この名前。」
その声を静かに聞いていた銀は、記憶を呼び覚まされる。 「…アンバー? 」
「そう。はじめまして、銀。 ……久しぶり。」

大粒の雨が降り出す。 その中を、傘を差したアンバーがゆっくりと近づいていく。




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ヘヴンズ・ゲート消失以来、5年間消息不明だったアンバー。
その彼女が、ついに動き出した。
標的は【 東京の中心、ヘルズ・ゲート 】。

黒がかつて誰よりも信頼していた人物。 それが、彼女。
無防備に背中を向け、殺傷力の高いナイフを渡すことができるほどに。
南米の頃は黒と同い年位か、若干年上に見えましたよね。
今、アンバーは10代半ばくらい。
まだ能力や対価は明らかにされていないけれど、もしや年齢を変えることができる?

木内さんが17歳頃の黒を演じ分けていらして見事 ! !
少しだけ高いトーンで、柔らかな声音。

黒の死神と恐れられていても、温かな心を奥底に秘めて生きていた、南米時代の黒。
「どこへ?」と問う、今より僅かに幼い声。
《 本当の星空を妹に見せたい。 》 そんな自分の願いを大切にしてくれる言葉を聞いて、微笑む口元。
そこにあるのは、〔17歳の年頃にふさわしい姿〕

妹と一緒に湖のほとりで満天の星空を眺めた夜から、まだ5年ほどしか経っていない。
それなのに、黒を取り巻く状況はこんなにも過酷に変わってしまっていた…。

「あなたの笑顔を、ずっと守ってくれますように。」

傷つき苦しむ17歳の黒は、その温かな言葉に救われ、癒されたのだと思う。
だから、似たペンダントを街路樹から外して渡す時、彼はマキに同じ言葉を告げる。

結果として裏切ったにせよ、あの時のアンバーには、確かな心が滲んでいた。

相手を大切に思い、本当の星空を黒たちとともに観たい…と。


MI6を裏切り、最終的には黒たちの組織をも裏切って生きる。
アンバーの目的は、「ゲートの消滅を引き起こして人々を混乱の渦に落とすこと」なのか。
【流星の欠片】を用いて。


それとも。

究極の目標は「南米と同様に、東京に残る最後のゲートを消し去ること」そのもの?


彼女が捜し求める『最後の鍵』とは、やはり…

優れた能力を持つ契約者を素材として集めることで、より確実に任務を行おうとしているようにも見える。

ノーベンバーの様子を見て「こんなんでやられる奴なら要らないよ」と言うマキの言葉の背景には、そのような事情があるのかも。

そして。 任務のためだけではない、別の思いも。


「初めまして。 …久しぶり。」
銀に投げかけられた、謎に満ちた言葉。
二人は今まで直接会ったことこそないものの、互いに相手を知っていたのだろうか。

あるいは。
今の少女の姿で会うのは初めて。 でも、かつての大人の姿だった時、銀に会っている…。


裏切られた信頼。 彼女の関係する事件によって行方不明となった妹。

黒とアンバーの対決は、果たして。



ノーベンバーはきっと生きている。 そのための氷結能力、とも考えられますし。
黒のライバルとして、生きていてほしい。
人を人とも思わないようでいて、幼いジュライをかばい、自分が戻れない時のために頼るべき先を書き残す。
彼にも、そんな人間味のある一面が隠されていたのですね。





来週が本当に待ち遠しい……!!







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