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「タバコは止めておけ。」「お前こそ食いすぎるなよ。」 「面白かったよ…お前らと一緒にいると…」 『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』第24話。静かに去りゆく者。ひたすらにゲートを目指す者。それぞれの思いが輝きを放つ。黒(ヘイ)の胸に鮮やかな笑顔を残して……。 「どこか田舎に引っ込んで、釣りでもしようかと思ってる…。」 「釣り?」 トンネル内を走るホァンの愛車。 思いがけない穏やかなホァンの呟きに、後部座席の黒が聞き返した。 「昔はよく行ったもんだ。 俺はヘラ専門でよ。」 「確かに、ヘラ鮒みたいな面はしてるな。」 「うるせぇ! 」 マオのとぼけた突っ込みにもめげず、ホァンは語り続ける。 「流れる水を見てると時間を忘れちまうんだ。 俺たちの人生なんざ、川を流れる木の葉みたいなもんだが…」 「へっくしゅ!! 」 珍しくしみじみと述懐していたのに、マオのくしゃみで台無しに。 「おい、今いいこと言ってたんだぞ! 」 「ああ、すまん☆」 助手席に座るウェイも、静かに会話を聞いている。 路肩へと停車し、ホァンに別れを告げる時が来た。 機嫌よくタバコをくわえたホァンは、微笑みながら指を近づける黒に気づく。 「ん? なんだ、火でも付けてくれんのか?」 期待しながら顔を向けて待つと、黒の瞳孔が紅く輝き、タバコの先が一瞬で吹き飛んでしまう。 「うぉぉっ?! 何しやがる?!!」 「タバコはやめておけ。」 黒の体を気遣う、黒の温かな笑顔。 家族を見守るような優しいまなざし。 「…お前こそ、食いすぎるなよ。」 ホァンも汗を浮かべながら黒を見る。 黒が体を引くと、次いで銀が身を乗り出し、ホァンの首に腕を回してギュっと抱きしめた。 「お、おいっ!? 」 突然の抱擁に真っ赤になるホァン。 後ろでは黒が微笑んで見つめている。 銀は切なそうに手に力を込め、やがてそっと体を引く。 「コホン!……。 じゃぁな。」 咳払いをしたホァンは、いつもの不敵な笑顔でポーズを決め、車を発進させた。 黒いワゴンが見る見るうちに遠ざかっていく。 無言で見送る黒たち4人。 トンネルを抜けたホァンは、甲州街道を東へ疾走。 だが上空では組織側のヘリが追跡し、包囲網は着実に迫っている。 追手を引きつけるため急ハンドルを切って右へ逸れ、さらに加速していく。 「…しっかり付いて来いよ…!」 銃弾を受け、血のにじむ腹部を押さえながら……。 『さあ、いよいよ始まるね 始まり始まり 終りのはじまり-----』 星見様の静かな声が観測室に響く。 未咲はただ一人パンドラ内部へと乗り込んだ。 目的はシュレーダー博士に面会し、話を聞くこと。 女性職員による厳しい身体検査を受け、ポケットに忍ばせたICレコーダーまで取り上げられてしまう。 ようやく通された部屋には、なぜかエリック西島も当たり前のように座っている。 「…私はシュレーダー博士に面会を求めたはずですが。」 「私としても二人っきりの方が嬉しいんだけど、この男が『どうしても』ってね。」 博士が肩をすくめて見せると、エリックは鋭い視線のまま口元に笑みを浮かべた。 「貴女とは一度お話をしたいと思っていたものですから。 残念ながら時間がない。 手早く説明させていただく。 どうぞお座りください。」 モニターに南米大陸の全体図が映し出され、博士がいそいそとソファに腰を下ろす。 5年前に南米で起きた〔物理的不可侵領域の発生〕。 これにより、人類は永久にヘヴンズ・ゲートにアクセスする手段を失っている。 広大な空間と数億の人々は、永遠に手の届かない存在になってしまったのだ。 「その状況を作り出したのが…BK201。 彼はなぜ南米の惨劇を引き起こしたのです? 」 博士が驚いた表情でこちらを向いた。 「彼? 違うよ。 その当時のメシエコードBK201は、別の女性を示すナンバーだったはずだ。」 事態が飲み込めず、未咲は博士の顔を見つめる。 「なんですって?!」 「過去の事象より今は現状を理解していただきたい。 EPRは今この東京で、南米と同じ現象を起こそうとしているのです。」 温度を含まないエリックの声。 未咲は疑問をぶつけた。 「その情報は一体どこから?」 エリックの表情が冷やかな笑みに代わる。 「我々はずっと彼らと戦ってきたのです。 知らないわけがない。」 『東京エクスプロージョン』 。 エリックたちがそう呼ぶ現象が南米と同じ規模で起きた場合、日本列島は全て不可侵領域に飲み込まれ、あらゆる存在が虚空に消えることになる。 「しかし、安心してください。 こんな事態は起こさせません。」 「どうやって止めるのです?」 「ヘルズ・ゲートを対消滅させるんだよ。」 朗らかな博士の言葉に、未咲は息をのむ。 「そんなことが可能なのですか?!」 ゲートを取り囲む壁は侵入者を防ぐためだけのものではない。 【あるモノ】を守るための堅牢な要塞でもある。 「…これは?」 「サターン・システムです。」 モニターに釘付けになる未咲。 その視線の先に、巨大な円形の粒子加速器が姿を現した……。 夜の新宿。 『パフェはじめました』の張り紙を出したラーメン屋の屋台で、斎藤と河野はヤケ食い中。 かつて黒と舞が食欲を競った屋台では、今夜、霧原課長を心配する刑事二人の哀愁が漂う。 「課長…、なんかヤバイことに首突っ込んじまってるんじゃないっすか?」 河野の弱気な様子に対し、斎藤は丼の汁を一気飲みして力を込める。 「俺は課長を信じる!」 「よく言うよ、尾行しといて…」 斎藤に聞こえないようボソッと呟く河野のツッコミ。 そこへ斎藤の携帯が鳴り響いた。 外事4課に残っている松本刑事からの緊急連絡だ。 「なんですって?! 河野、パンドラへ行くぞ! 課長がいるんだよ、そこに!」 だが、二人が屋台を離れてすぐに特殊車両と鉢合わせしてしまう。 数え切れないほどの特車が列を成している。 「くそっ! 一体何が起きてるんだ…?!」 何も知らされていない二人は、動きが取れない。 その頃。 未咲の前では、シュレーダー博士の流暢な説明が続いていた。 「大黒班は発生から45日目に面積を最大とする最終段階を迎え、約30分、その状態を維持する。 その30分の間に、このサターン・リングで生成、加速した反ゲート粒子をヘルズゲート中心核に撃ち込めば…! 」 「ゲートは対消滅する…。」 「ちなみに、BK201が東京エクスプロージョンを起こせるのも、この最終段階に限られておる。」 「え…っ?!」 驚く未咲。 エリックがキーボードを打つ手を止め、顔を上げた。 「我々が南米で得た、膨大な知識と教訓の一つですよ。」 「面白いだろう? この30分を巡って、人類と契約者の戦いが繰り広げられてきたんだよ!」 博士は和洋折衷の懐中時計を取り出した。 現在の時刻は深夜1時43分。 「世紀の瞬間まで、あと5時間27分!」 エリックの手元に報告が入る。 「どうした? 」 『北区本町2丁目で特隊が交戦状態に入りました』 「分かった。」 博士が嬉しそうに叫ぶ。 「おおっ、始まりおったね!」 同時に、エリックの背後でシャッターが上がり、対策本部の全容が目の前に展開した。 夥しい数のモニター。 そこには、天文部で収集したデータが逐一映し出されている。 今までずっとそうしていたかのように、それらを注視するパンドラ職員たち。 「これは…!」 愕然とする未咲。 ゲートの付近で繰り広げられる激しい戦闘。 アンバーの指令を受けた契約者たちはチームを組み、縦横無尽に駆ける。 『急いだ 急いだ 星さまたちよ 光って 泣いて 流れて 消えて --------』 星見様が言葉を紡ぐ。 すでに板橋区から北区にかけて無数の契約者が入り乱れ、激しく闘っていた。 ウェイに導かれ、廃線となった地下鉄の線路へと入る黒たち。 「なるほど、聞いたことがある。 公式には存在しないことになってる地下鉄があるってな。」 マオが頷き、ウェイは線路へと飛び降りた。 この地下鉄に関する資料はすでに失われているため、今では警備もされていないという。 「おい、歩いていくのか?」 「電気は止められています。 その代り、警察の観測霊も侵入できないというわけです。」 黒が先に飛び降り、両腕を広げて声をかける。 「銀。」 その声に応えて銀が線路へと降り、3人は歩きだした。 「やれやれ…」 マオも仕方なく飛び降りると、後を追って進む。 『きらきら ぴかぴか 星さまよ 天の波間にきらめいて 流れ流され どこへ行く だぁれも知らない 暗い穴 -------』 言葉を紡ぐ星見様の眉が悲しげにひそめられ、契約者たちの星が次々と流れ落ちていく。 ゲートを間近に眺めるマンションの一室で、対価のゆで卵を作る雨霧。 戦闘の音がここまで響いてくる。 「始まったな。」 窓からゲートを眺めていたアンバーが振り返り、微笑んだ。 肩に下げているのは【流星の欠片】を入れたポシェット。 「うん…。 じゃ、後は予定通りに。」 静かに部屋を出て行こうとする彼女に、雨霧がふと声をかける。 「アンバー、…」 「ん?」 振り向いて笑顔で見つめるが、雨霧は黙り込んでしまう。 「ん?」 促すように微笑み、首をかしげるアンバー。 彼女に最後の別れの言葉を言わなければならない。 けれど… 「卵、要るか?」 「ちょうだい。」 すぐそこまで迫る最終局面を感じさせない、アンバーの明るい声。 ウェイに導かれた黒たち一行の前に、分厚いコンクリートの壁が立ちはだかった。 「ここが壁の真下か。 すんなりとは通してくれないみたいだな。 どうする? 」 マオが尋ねると、挑戦的な笑みを浮かべてウェイはナイフを取り出した。 「こうします! 」 ハッとして体を引き、身構える黒。 すかさず大量の血を投げつけられ、横へ回転して避ける。 「何のつもりだ?! 」 「アンバーとの約束は、貴方をここまで案内すること。 その後は好きにしていいという条件で。」 指を鳴らす音とともに背後の柱が破壊され、黒は横ざまへ大きく飛びのいた。 「私は貴方ともう一度戦うために、アンバーと行動を共にしていたのです。 EPRに居ればいずれ貴方に会えると思って。 この力を手に入れてから、他人に負けることなどあり得なかった。 …その屈辱、貴方に分かりますか? 」 「…いや。」 「でしょうね!」 ウェイの顔が歪む。 同時に走り出す二人。 黒がナイフを放ち、ウェイの血が炸裂する。 見守るマオは苦々しげに唸った。 「屈辱だと? 面白いことを言うじゃないか。契約者のくせに。」 一瞬の隙を見てワイヤーを天井へ向けて投擲する黒。 ウェイは気付かず、そのまま黒が身を隠した柱へ血を放つ。 指の鳴る音とともに柱が激しく倒壊。 会心の笑みを浮かべるが…… ワイヤーに掴まり、黒がウェイに向かって真っ直ぐに身を躍らせた。 「ヘヴンズ・ゲートとヘルズ・ゲートは、表裏一体なんだ。 片方を塞いでしまえば、もう片方も消える。」 テーブルに置かれたコーヒーには手をつけず、未咲はシュレーダー博士の解説にじっと聞き入っていた。 「ゲートが無くなると、契約者はどうなるのですか? 」 真剣に尋ねる未咲。 博士は事もなげに答える。 「全員溶けて消える。 この砂糖のように。」 「…そんな! 本当なのですか、それは?! 」 「ホントだよ。 実験したんだ。」 未咲の怒りはついに頂点に達した。 「馬鹿な! 貴方がたは一体…! 契約者といえど人間です!! その全てが犯罪者というわけではない!」 「では、数千人の契約者のために、数億の人間を犠牲にしろと言うのですか? 」 エリックの冷やかな声を聞き、未咲は歯を食いしばる。 同時に、公安部長・宝来の低い声が響き渡った。 「ヒューマニズムを口にするのはたやすいが、現実を見落として国民を危険に晒すのは、警察官として許されざる行為だとは思わんか? 霧原。」 「部長…!」 「私の部下が失礼した。 ミスター西島。」 「いえ、なかなか楽しいひと時でした。 後は任せます。 最後の詰めが待ってますので。」 エリックは博士を伴って部屋を出ていく。 残された未咲は立ちすくんだ。 「サターン・リングの発動は、我々にとっても苦渋の決断なのだよ。」 背を向けたまま、宝来は語り始める。 「…貴方も、向こう側の人間だったというわけですか…! 」 未咲の鋭い問いかけ。 握りしめた拳が震える。 国連管理下の一研究機関に過ぎないパンドラに、数億の人命を左右するような作戦を単独で実行する権限はない。 よほど巨大な力が、国家の枠組みをも超えた意思がなければ、今まで隠し通すことなどできなかったはず。 「ノーベンバー11が追っていたのは、そんな途方もない力を持つ組織だったのですね…!! 」 苦い思いを噛みしめる未咲に、追い討ちが掛けられる。 「そして気付いてないかもしれないが、君もすでに組織の一部として組み込まれている。」 「私が?! 馬鹿なっ…!」 「あらゆる国の諜報機関、政府、権力者に組織の手は及んでいる。 世界の秩序を守るために。」 その宝来の言葉に、未咲はハッと顔を上げる。 「…もしや…BK201も? 」 「BK201、コードネーム『黒(ヘイ)』。 彼も組織の人間だ。 もっとも、今は姿をくらましてしまったがね。」 未咲は大きく息をのむ。 「姿をくらました…? 」 眉を寄せ、じっと考え込んだ後、強い視線を宝来に向けた。 「どうして今さら真実を話したのですか? 私もノーベンバーのように…」 「殺すのは簡単だ。 だが、我々は常に優秀な人間を欲している。 君のようなね。」 《 そんな…! 私は組織に利用されるために生かされているのか……》 未咲の中を衝撃が駆け抜ける。 黒のナイフによってにとどめを刺されたウェイ。 もう動く力すら残っていない。 背中を預ける壁には、まるで十字架のように鮮血が飛び散っている。 やがて、ウェイの口から笑い声が漏れた。 「…何が可笑しい? 」 厳しい口調で黒が問うと、ウェイは自嘲気味に呟く。 「やはり、こうなるか…」 「どういうことだ?! 」 「俺がお前を殺してしまうようでは…、道案内などさせるはずがない……」 マオは驚いて声を上げる。 「お前、最初から負けると判っていて…? 」 「…結果が分かっていても、戦わずにはいられなかった……」 「契約者には考えられない、非合理的な行動だな。」 「お前のせいだ…お前に会ったお陰で……! 」 黒に出会ったために、自分の感情に正直に生きようとしたウェイ。 マオはそっと語りかける。 「変な野郎だよ、お前も。」 「ああ…! 」 ウェイが微笑む。 「行け、BK201…!」 ウェイの左指が鳴らされ、最後の壁は彼を巻き込んで大音響とともに崩壊していく。 その最期を、辛そうに見守る黒……。 黒たち3人の前に、壁の奥へと続く暗闇が出現した。 組織の追跡を引きつけながら、埠頭へと激走するホァンの車。 夜空では絶えず契約者の星が流れ続けている。 ついに敵の車に体当たりで止められ、機関銃を構えた男達がドアを開けた。 ハンドルに突っ伏し、苦しげに肩で息をするホァン。 大量の出血に染まる服とシート。 「悪いな…。 親父一人しか…いなくてよ…」 助手席の前には強力な爆薬が6本据えられ、タイマーにセットされた時計の針が時を刻む。 気づいた男達は蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。 荒い息をつきながらシートにもたれると、ホァンは霞む目を凝らして夜空を見上げる。 今また二つの星が流れていく…。 いつものように浮かべる不敵な笑み。 《 誰の星だか知らないが、待ってろよ。 俺もお前達の仲間入りをさせてもらうぜ… 》 レインボーブリッジのすぐ近く。 ホァンの車が大爆発する。 黒たちを庇って、彼は命を散らした……。 ブリタとともにサターン・リングの設置場所へと転移した雨霧は、思わぬ事態に直面した。 上方からこちらを見守る、組織側の契約者の少女。 その能力で発火するブリタと自分。 …だが、一瞬の後に気づくと…まだ何も起きていない。その一方、空のはずのポケットに先ほどのゆで卵が入っている。 「アンバーか…。」 雨霧の危機を察知したアンバーが時間を巻き戻し、その証として卵を託していったのだ。 サターン・リングの前まで来ると、雨霧は無言で腕を伸ばし能力を発動した。 標的は、先ほどの予知夢で見た少女・舞。 不意討ちは成功し、舞は体勢を崩す。 その隙にサターン・リングに向けて次々に波動を撃ち込む。 「よし、リングは破壊した!」 しかし、その言葉の終らぬうちに雨霧は炎に包まれる。 必死に柵に掴まり、反撃する舞。 リングから激しい水蒸気が噴き出し、通路上の舞をも飲み込んでいく……。 ゲートのすぐ傍に停車した大型トラック内に、炎から辛うじて脱出したブリタが現れた。 二段にずらりと並べられたドールのカプセル。 契約者の仲間たちが周囲の状況を確認している。 「ブリタ!! …リングは? 」 「破壊した。 状況は? 」 「攻撃に参加していたメンバーはほぼ全滅。生き残りも敗走を始めている。」 「そう…。」 「雨霧は?」 仲間の問いかけに、ブリタは力無く首を振った。 同時に、ゲートの中から再び反ゲート粒子の反応が発生。 「裏をかいていたのは、私たちだけじゃないってことか…。」ブリタは悄然と呟き、ドールたちを見上げる。 「後は、この子たちとアンバーに期待するしかない。」 雨霧の破壊したリングは『囮』(おとり)に過ぎなかったのだ。 パンドラ内では、すでにもう一基のリングが稼働を開始していた。 「そうか、ジュピター・リングは予備なんぞ用意してなかったから、南米の時は痛い目を見た。えらい! えらいよ君は!」 グッジョブ!と喜ぶシュレーダー博士に、エリックはまんざらでもない様子で微かに笑う。 ゲート内の荒廃した公園へと足を運んだ黒たち。 戦闘の音が聞こえる外部の方角を、黒は寂しげに見守る。 不意に、アスファルトの道路から観測霊が出現した。 「…呼んでる。」 真っ直ぐ観測霊に向かって歩き出した銀を、マオは心配して止めようとする。 「まて、銀! むやみに動くと…!」 その銀は「…あっち。」との言葉を残して突然姿を消す。 まるで別の空間へ飲み込まれたかのように。 様子を見つめていた黒も、銀の後に従った。 「ええい、どうにでもなれっ!」 脂汗を流しながらマオも飛び込む。 そこは、重力が不思議な作用を及ぼす空間。 3人は高層ビルの壁や窓の上を、地面と水平に歩くことに。 「これがゲートか。 面白いじゃないか…!! 」 ヤケになって黒と銀に続くマオ。 頭上では絶えず契約者の星が流れ続ける。 『急いで渡れや 三途の河原 されど星さま 迷わぬように 案内する子と はぐれぬように -------』 星見様の言葉を裏付けるように、黒たちを導く大勢のドールの観測霊。 天文部の収集したデータから、ついにシュレーダー博士が気づいた。 「そうか!! 連中、ドールを使ったな?! 」 「痛て!」 銀に抱えられたマオが小さく悲鳴を上げる。 「どうした?」 「パンドラのサーバーに侵入して昔の論文を漁ってたんだが、切られちまった。 でも、面白い論文を見つけたぞ。」 ドール単体では何を媒介にしようとも、観測霊をゲートの奥に侵入させるにはかなりの苦痛を伴う。 だが、大量のドールをリンクさせ、【流星の欠片】で能力を増幅させるシステムを作れば、ゲートの中心近くまで観測霊を侵入させられるのだ。 暗闇の中を進む黒たちの前に、まるで篝火のように観測霊がたたずみ、道案内を務めている……。 やがて、マオが静かに語りだした。 ひたひたと近付く別れの時。 「餌はカリカリじゃない方が好きなんだ…」 「ん?」 異変を感じた黒が足を止めると、ぼんやりとしたマオの声が続く。 「面白かったよ…お前らと一緒にいると…」 「マオ?! 」 「いつか…俺にそっくりな猫が…お前らを訪ねていったら……」 不意にマオが暴れだし、銀の左指を噛んで地面へ飛び降りた。 猫の本能のままに一目散に駆け去っていく。 組織から切り捨てられた時、いつかはこうなると覚悟していたはずなのに。 こんなにも別れは突然に来てしまう…。 哀しげに傷を口に含む銀。 黒は、マオの後ろ姿を茫然と見送ることしかできない……。 切なさが黒の胸を締めつける。 『星の数だけ命は消えて すべて流れていなくなる どこへ行かれる? 流れた星よ 私を置いて 逝かんでおくれ --------』 星見様の悲痛な叫びが響く。 言問橋(ことといばし)の上を渡る銀と黒。 二人を導いていた観測霊が突然消滅した。 ドールとともにブリタ達が隠れていたトラックを始め、ドールの各拠点が襲撃されたのだ。 「これで連中は道しるべを失った。 もはやゲートの中心に至ることも、外に出てくることもできん!」 勝ち誇る博士。 エリックも勝利を確信する。 「我々の勝ちだ…!」 『だぁれもいない暗い空 大きな大きな華ひとつ ぴかり光って その先は どっちもどっちも ---------』 星見様が不意に笑い始めた。 聞きなれない甲高い声がこだまする。 じっと意識を研ぎ澄ませていた銀が目を見開く。 「どうした? 銀。 銀!」 銀はためらわずに橋の欄干に上がり、川面へ飛び降りた。 そして右手の方向を指さす。 「あっち。」 その姿を見て穏やかに微笑み、黒も川へと飛び降りる。 浅い水底に立って黒が頷くと、銀は先に立って歩き出した。 川霧の立ち込める中、二人の姿を太陽が照らす。 その表面を覆う大黒班。 だが、朝の光はあくまでも優しく、静かだ。 最終局面は午前7時10分。 もうあと少し。 ふと、黒が何かに気づいて視線を集中させる。 その先には… 幼い童女の姿になった…アンバー。 *:・'゜☆。.:*:・'゜☆゜':*:。.:*:゜'・:*・'゜☆。.:*・'゜*:・'゜☆。.:*:・'゜☆゜':*:。.:*:゜'・:*・'゜☆。.:*・'゜ ホァン……!!!! こんな形で命を落とすことになるとは。 彼らしいけれど…もっともっと生きてほしかった…! 致命傷を受けた時点で、ホァンは覚悟していたのでしょうね。 病院に担ぎ込まれたところで、組織が手を回せば助かる見込みはない。 《 ならば、黒たちの代わりに追っ手を引きつけてやろう。》 そんなホァンの気持ちが切ない…。 別れの挨拶を告げた時、銀はホァンとはもう会えないと覚悟していた様子でした。 一方、黒は『またどこかでホァンとは会える』と信じていたんじゃないかな。 ここまでチームを引っ張ってきたホァンが死ぬはずはない、と。 「タバコはやめておけ。」 あの優しさ全開の黒のほほ笑みは、永遠の別れというより〔少しは体を大事にしてくれ〕との思いやりにあふれていたように感じられるのです。 ホァンの答えも「お前こそ、食いすぎるなよ。」なんて… だめだ…またジワッと涙が…。 彼の最期の様子を、黒たちが知る時は来るのだろうか。 「俺の最期なんざ知ったってどうしようもねぇんだから、知らなくたっていいさ。 あいつらが自分の信じる道を行けたら…俺はそれで充分だ。 じゃぁな。」 そんなホァンの強気な笑顔が見えてきそうで…泣いてしまった…。 マオも、きちんと黒たちにお別れを告げて去っていったのですね。 最後の最後まで状況を冷静に分析して、一方では思わぬ事態に冷や汗をかいて。 人間味がいっぱい詰まっていたマオ。 だんだんと声が静かになり、「いつか俺に似た猫が会いにいくから」と…… もうあの飄々とした声を聞くことはできないのかな… マオの姿を見送る黒の表情に、胸がぐっと締め付けられました。 本当に寂しかったのですね。黒は。 マオにだけはジョークを言い、心のどこかで頼りにしていた黒。 がんばれ……!! 契約者たちもドールも、パンドラの前に捻じ伏せられていく。 そんな中、ついに4〜5歳児の状態まで幼くなってしまったアンバー。 雨霧と別行動を取った後、何回も能力を使った模様。 もう後1回使えば、彼女の命は風前の灯になってしまう…。 最終局面の午前7時過ぎまで、残すところわずか。 黒……… ![]() ![]() ![]() 最終回、どうなってしまうのだろう… ![]() ![]() DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 3
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DARKER THAN BLACK 第24話
サブタイトル「流星雨」 パンドラを訪れた未咲は、シュレーダーから真相を聞かされる。 一方ヘイたちは、ゲート内に足を踏み入れ... ...続きを見る |
オヤジもハマる☆現代アニメ 2007/09/25 05:41 |
DARKERTHANBLACK-黒の契約者- 第24話「流星雨」
DARKERTHANBLACK-黒の契約者-の第24話を見ました。第24話 流星雨「どこか田舎に引っ込んで釣りでもしようかと思ってる」「釣り?」「昔はよく行ったもんだ。俺はヘラ専門でよ」「箆鮒みてえな面はしてるな」「うるせえ。流れる水を見てると時間を忘れちまうんだ。ま、俺達... ...続きを見る |
MAGI☆の日記 2007/09/25 12:08 |
「DARKERTHANBLACK黒の契約者」第24話
第二十四話「流星雨」「組織」の追っ手から黒を逃す黄。黒は契約者ウェイとともに、アンバーの待つゲートに繋がる、地下鉄内へと侵入する。その頃、未咲はシュレーダー博士のもとで真相を知る。イブニングプリムローズが東京消失を目論む理由。そして黒の属する「組織」の... ...続きを見る |
日々“是”精進! 2007/09/25 12:17 |
[アニメ][DARKER THAN BLACK]『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-...
人類と契約者の戦い。それはまさに、終わりの始まりだった。黒はウェイに誘われるまま、ゲート内部に侵入する。そして未咲は自分達が、ノーベンバー11が追っていた「組織」の真実を知る。 早くもOPをすっ飛ばし、『ダーカー』クライマックス! いよいよ始まった地獄門 ...続きを見る |
なにぬね〜独り言でもつらつらと〜 2007/09/25 12:20 |
Darker than BLACK -黒の契約者- 第24話「流星雨」
DARKER THAN BLACK 黒の契約者 いよいよEPRが作戦を実行した今回。まあ、実行したというより、シュレイダーの話しによれば、物事が起こる時間はあらかじめ簡単に予想がついていたことになりますが…。今回、ヘイの組織がパンドラであることが明確にされました。まあ、こ.... ...続きを見る |
パプリカさん家のアニメ亭 2007/09/25 13:19 |
黒の契約者をみました。
『さぁ、いよいよ始まるねぇ。 はじまりはじまり。 終りの始まり。』どっかんどっかん始まりましたーー!!契約者VSパンドラ普通にシュレーダーとか元気だし、軽く(笑)驚きもしましたがどちら が (?)生き残るんでしょう... ...続きを見る |
鳥飛兎走 2007/09/25 13:43 |
お前が死んでも星は流れねえっ!だからっ……!!/『Darker Than Black−黒の契約者−』...
「結果がわかっていても、戦わずにはいられなかった……。お前のせいだ……お前に会ったおかげで」(魏<ウェイ>) ...続きを見る |
サブカル・カムカム 2007/09/25 14:17 |
光りを放ちて落ちゆくは・・
{/hiyo_oro/}これからお出掛けなので、ひと言感想で失礼します☆ ...続きを見る |
マイ・シークレット・ガーデン 2007/09/25 14:54 |
DarkerthanBlack黒の契約者#24「流星雨」感想
アンバーに会う。そこに行けば生きて帰れるかも分からない。最期の心遣いに抱擁・・・。涙が出ました・・・。「流星雨」あらすじは公式からです。「組織」の追っ手から黒を逃す黄。黒は契約者ウェイとともに、アンバーの待つゲートに繋がる、地下鉄内へと侵入する。その頃... ...続きを見る |
おぼろ二次元日記 2007/09/25 14:56 |
(アニメ感想) DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 第24話 「流星雨」
DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 3 ...続きを見る |
ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人 2007/09/25 15:10 |
DTB-黒の契約者- 第24話「流星雨」
ホァン。マオ・・・ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!!! ...続きを見る |
●○PEKO LIFE●○ 2007/09/25 18:30 |
「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」#24 黄(ホァン)〜っ!猫(マオ)〜っ!
感想随分遅くなりました。 多忙とバテてたのも原因ですけど、 なにより24話は辛かった。 彼らも1人減り、2人減り、していくのだろうと、 想像はついていたのですよ。 だけどいざそのシーンになると、 ものすごくショックで…{/face_gaan/} ...続きを見る |
橘の部屋 2007/09/25 21:08 |
DARKERTHANBLACK・黒の契約者#24「流星雨」(9/21)感想
旅をしてきたよ、時間のあちらからこちらまで。ずっとあなたに会いたかった。ただただ、あなたに会いたかった・・・。あなたの為なら何でも出来る。もう一度、その笑顔が見られるなら。あらすじは公式HPから。「組織」の追っ手から黒を逃す黄。黒は契約者ウェイとともに、... ...続きを見る |
よろず屋の猫 2007/09/25 21:27 |
黒の契約者 第24話「流星雨」(感想)
こちらは感想です。内容は前半・後半。(まだ編集中です。まだ感想追加します。少し追記しました)黄!やはり撃たれていました。いつになく穏やかな表情で話す黄が印象的でした。あれほどの傷を負って平気なはずはないのに…黒や銀との別れも良かった。猫との掛け合いも良... ...続きを見る |
からまつそう 2007/09/25 22:25 |
DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 第24話 「流星雨」
ホア━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━ン!!!! ...続きを見る |
ミルクレモンティー 2007/09/25 22:31 |
DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 第二十四話
次々と流れ消えていく星。それは次々と殺され消えていく契約者達の命… 黒達への ...続きを見る |
ぶろーくん・こんぱす 2007/09/25 22:37 |
darker than BLACK 第24話 感想
さらば友よ・・・ ...続きを見る |
荒野の出来事 2007/09/25 22:46 |
DARKER THAN BLACK 黒の契約者 第24話
サブタイトルは『流星雨』。ついにラスト直前・・・ あぁぁああ~だから“ラスト直前”ってイヤなんだよな~と思わされる展開。 切ねェ!寂しい!!哀しい・・・。 ...続きを見る |
風庫~カゼクラ~ 2007/09/25 23:50 |
黒の契約者 第24話「流星雨」
一気にいろんな事が分かったお話でしたね。分からないままの事もありそうですが、それなりに決着が付きそうです。 ...続きを見る |
見ていて悪いか! 2007/09/26 09:57 |
「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」レビュー2
「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *キャラクター(声優):黒(木内秀信)、銀(福圓美里)、猫(沢木郁也)、黄(池田勝)、霧原未咲(水樹奈々)、斎藤雄介(志村知幸)、松本邦夫(福田信昭)、河野豊(鳥海浩輔.. ...続きを見る |
アニメレビュー トラックバックセンター 2007/09/26 11:02 |
DARKERTHANBLACK-黒の契約者-第24話「流星雨」感想
黒の契約者も残り二話となりましたね。一体どんな結末を迎えるのでしょうか・・。DARKERTHANBLACK-黒の契約者-3/アニメーション[DVD]早速感想。う〜ん、今回は星が流れすぎ・・・。黄も・・・。銀は相変わらずかわいいよ。でも・・・。今回は少し忘れかけていたというか、... ...続きを見る |
物書きチャリダー日記 2007/09/26 14:52 |
レビュー・評価:Darker than BLACK 黒の契約者/第24話 「流星雨」
品質評価 27 / 萌え評価 18 / 燃え評価 18 / ギャグ評価 0 / シリアス評価 81 / お色気評価 36 / 総合評価 30レビュー数 11 件 ...続きを見る |
ANIMA-LIGHT:アニメ・マンガ・... 2007/09/26 18:00 |
DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 24話「流星雨」
『「組織」の追っ手から黒を逃す黄。黒は契約者ウェイとともに、アンバーの待つゲートに繋がる、地下鉄内へと侵入する。その頃、未咲はシュレーダー博士のもとで真相を知る。イブニングプリムローズが東京消失を目論む理由。 ...続きを見る |
Spare Time 2007/09/26 19:20 |
黒の契約者とロミジュリ
絶望した…!黄と猫はもはや唖然とした…。 ロミジュリの22話が録画が最後の10分尻切れになってて絶望した…!(放映時間ずれてましたよね…? ...続きを見る |
アメダマ 2007/09/28 06:18 |
Darker than BLACK -黒の契約者- 2007/09/12~10/12
Darker than BLACK -黒の契約者-についての最近の情報です。 ...続きを見る |
最新キーワードの情報収集・動画ブログ 第... 2007/10/13 08:33 |
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情報商材レビューinfo-chance.... 2009/02/19 14:22 |
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